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2014 ” Voices / からだの声を聴く " より
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目まぐるしく過ごしていたある時期に、身体を壊したことがあった。その時に、じわりじわりと回復していく経過を目の当たりにしながら、自分の身体が意志とは別の独自の主体性をもって生きようとしていることに気づき、静かに感動したのを憶えている。
そのことをきっかけとして、身体が内に秘めている本音というものを意識すると同時に、それらの声をずっと無視してきたことを顧みるようになった。そしてその声は、目に映るあらゆるものに息づいているようにも感じられたのだった。
私たちが言葉を発する手前には、おそらく沈黙にも似た声があって、もしかするとそれは万物が発する、いのちの振動のようなものなのかも知れない。そういった、名付けられないまま消えてしまう営みをこそ、写真を通して再び見つめたいと思った。
そのかすかな声は、僕たちの想像力の余白を漂いながら、この世界を静かに満たしている。
まるで通奏低音のようなその響きに耳を傾けるとき、そこにはより豊かな世界のあり方が隠されているように思う。
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