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遠い昔にわかっていること


遠い昔の記憶が、ひとすじの流星のようにふっと視界の脇をかすめていく度に、かつて覚えていたはずのことを忘れてしまった世界に生きているんじゃないかと思うことがある。意識を向けた途端に立ち消えてしてしまうほどそれは繊細で、そしてその遠さに目を向けていたことさえ、たちまち霧散してしまう。時折、見慣れた景色の中に、そのような気配が一瞬だけ顕れる。


ある静けさをもつ響きによってのみ回復する魂の領域がある。その響きは、思いがけず出会った人の眼差しに含まれていることがある。

いつだったか夢の中で、「人は前世で住んでいた惑星と同じかたちの瞳を持って生まれてくる。だから目を見て親しみを感じる相手は、同じ星からやってきたんだよ」と教えてもらったことがある。それが本当かどうかはわからないけれど、そのイメージはずっと頭の片隅にあって、今でも誰かと対面した時には瞳や瞳孔にじっと見入ってしまうことがある。身体の中には宇宙よりも遠い場所がある。


回復することは、同時に、見えていることの外側を思い出すことに似ている。人や芸術や音楽と目が合ってしまう出会い頭の一瞬には、そこに近づかされる引力が宿っている。本当に目が合うとは、そこからやってくる光に感応するということだ。





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