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2023 " Boundaries of our sex politics / 皮膚の思考(遅い鏡) "
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あるとき、自分とは異なるセクシュアリティーを持つ人と、特別な親密さを共有していくようになりました。
別々の性愛を指向する二人でしたが、しかしそこに”恋愛”や”性愛”を代入しなければこの関係を育てていくことができるのかもしれないと話し合うようになりました。
私たちは時々、〈男らしさ・女らしさ〉のように、身体がまとってしまう意味に疲れては、
この皮膚を脱いでしまいたいという思いが重なることがありました。
そのたびに、もし、この身体という服を脱ぐことができたなら、私たちは誰に、どのように好意を抱くのだろうと疑問をもつようになりました。
身体を持ちながら身体じゃない場所に接近していく方法がセックスなのだとしたら、それが前提されていない私たちの間には、何か別の、全く違う目の持ち方が必要だったのです。
具体的な制作プロセスは、一分間という長時間露光のあいだにカメラの前に一人ずつ交互に存在し合い、 相手の残した痕跡や気配に触れていくように、目以外の感覚を延長してみることをしています。
長時間露光という方法をとることで、そこにいる時間、そしてそこにいない時間の両方が写ることや、また、暗い部屋の中や、暗い公園でしか行えないことが条件づけられるため、暗箱のように目のきかない暗がりのなかで相手を想像するという状況が生まれます。
それはどこか写真的な行為でもあり、今までにない意識の通わせ方でした。
そのことにより”遅れて”見えてくるものを私たちの鏡にしたかったのです。
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